実家の片付けと掃除を、親と一緒に楽しくやろう
- 麻希 大井
- 2021年10月30日
- 読了時間: 8分
更新日:2月13日

実家に帰ると、「以前に比べてずいぶん汚れてきたなぁ」と思うかもしれません。
年月を経て家が古くなったこともありますが、どうもそれだけではなさそうです。
では、子ども世代はどう対処したらいいのか。
無理のない片付けや掃除のヒントをお伝えします。
遠距離で暮らしているなら、ぜひ次に帰省するタイミングの参考にしてください。
<目次>
実家が汚れる原因は、ものが増えているわりに掃除が行き届かないから
夫婦ふたり暮らし、あるいはひとり暮らしなのに、実家には物があふれていませんか?
昭和、平成、令和と引き継がれてきたさまざまなものが家に混在しています。
断捨離が苦手な人は、捨てるより買うもののほうが多いので、年月を重ねるごとに、物も積み重なっていきます。
物が多いから掃除しにくく、ほこりをかぶり、また掃除したくなくなる、の繰り返しで部屋が薄汚れてしまい、乱雑になっていきます。
かつては子どもたちが「汚すから」と頻繁に拭き掃除や掃除機かけをしていましたが、子どもがいなくなり、お客さんも減ると、どうしても掃除の意欲は低くなってしまうもの。
腰が痛い、重いものが持てないなどの理由もあって、掃除機がかけにくく、拭き掃除もしにくくなっていることもあるでしょう。
でも、ずっと放っておくとダニがわいたり、ホコリにまみれたりいて、肺疾患を招くこともあります。
また、物が多いとつまずいて転倒することも。
家の中の転倒事故は、意外に多いのです。
整理整頓せねばならないのは明々白々。たぶん、ご本人もそう思っているでしょう。
けれど、そう簡単に実家は片付きません。
よかれと思って「どうせ使わないから捨てよう」と言っても、「いや捨てられない」の押し問答になりがちです。
それを回避するには、ちょっとした言い方が大切なのです。
子どもの主観で掃除や片付けをしない。親の価値観を尊重
「あーあー、こんなくだらないものとっておいて。もう捨てよう捨てよう、持っていたってしょうがない!」
子ども世代はこんな言葉を言ってしまいがちですが、これは大間違いです。
そもそも、実家にあるものは親の保有財産です。
子どもが捨てる、捨てないに主導権を握るのは間違っています。
「こんなくだらないもの」「もう捨てよう」「持っていたってしょうがない」
それはすべて子ども側の主観。
親御さんの主観は
「大事なもの」「捨てられるわけがない」「まだ持ち続ける」
かもしれません。
いずれにせよ、親の価値感はまず尊重しましょう。
だからといって、捨てられないわけではありません。
整理をする必然性を本人が納得して「片付けよう」と言葉に出してもらえるように
家族の思い出が詰まった家に住み続けたい、きれいに保ちたいのは、親子共通の思いです。
でも、今の親御さんには、家をきれいに保つモチベーションがうすれているのでしょう。
「汚い」「片付けろ」などと言われては、ますますモチベーションが下がるか、意固地になって「うるさい、勝手でしょう」と言いたくなるかもしれません。
「みんなで住んでいた家を、いつまでもひとりできれいに保つのは大変だよね。ずっと放っておいて悪かった。大掃除で窓拭きをすることや、エアコンの掃除とか、大変なところは一緒にやるよ」
と言ってみてください。
物を捨てることより、まずは物を捨てない、掃除から持ちかけます。
年を取ると、窓拭きやエアコンの掃除、電気のかさの掃除など高い所の掃除は、とても骨が折れ、危険でもあります。
また目が悪くなると、汚れが残っていても気づきにくくなります。
清掃の専門会社などに頼めば有料でやってくれますが、「家事を何千円も支払って頼むなんて」と気が進まないのは当然です。
訪問介護を受けている場合は、「うちはヘルパーさんが来て掃除をしてくれるから大丈夫」と思っているかもしれません。
けれど、たとえば訪問介護の人に掃除を頼んでも、こうした掃除は「特別な掃除」とみなされ、ヘルパーさんの仕事の範疇外になってしまいます。
暮れの大掃除の時期とは関係なしに、もっと気候がよく、家中開け放しても寒くない時期に、家族みんなで掃除をする日をもうけよう、と提案してみませんか。
主導権を握るのは、あくまで親御さん。
「午前中だけやって、夕方はみんなでご飯を食べようよ」などと、イベント性を高くするのがコツです。
または、「うちの子も一緒にやるって張り切ってるよ」とお孫さんの名前を出せば、すぐにOKかもしれません。
「そうね、やってみましょう」と、声に出してOKしてもらうのが大前提です。
「孫にホコリを吸わせるわけにはいかないわ」と言うのなら、パートナーとお子さんは遊んでいてもらって、親子だけでやるのもOKです。
いずれにしても、声に出せば覚悟もつきますし、引き返せません。
何事もご自分で決めていただくのが一番。
「ここはやってほしい」「ここは今回はやらないで」という要望もできるだけ聞きましょう。
掃除が成功したら片付け。でも「捨てる」の言葉はNG!
掃除を協力してできるようになったら、いよいよ、物の片付けの提案です。
でも、「捨てる」の言葉はとりあえず飲み込んでください。
押し入れや引き出しがいっぱいでものがあふれて閉まらない、というときには、「ちゃんと閉まるようにする?」と聞きましょう。
孫が遊びに来るときのために、「おもちゃを少し入れたいからスペースをあけてもらえるとうれしいなぁ」などと言うのもひとつの手です。
どの親御さんも、孫には弱いものです。
処分するときも、子どもの感覚では「こんなもの、よくとっておくな」と思っても、ちょっと思いとどまり、「親の大事なものを処分するのだ」という思いで望んでください。
では処分の基準をどうするか?
親御さんに任せすぎると、全てが「捨てられないもの」として分類されるかもしれません。
まず、目安となる基準を一緒に決めましょう。
たとえば、
・割れている、欠けている、破れている、ほつれているなど、明らかに問題がある物
・毛玉がたくさんついている、くすんでいるなど、きれいにするのが大変な物
・たくさんあってダブっている物。機能は同じ物
・食器などはセットになっていたのに、1枚、2枚しかない物
・きちんとした良いものだけど、実家では使う機会が全くなさそうな物
「これはどうしようか? こっちで代用できるよね?」と聞いてみてください。
「いや、これをとっておいて向こうを捨てよう」と、親御さんが主体的に考えてくれるようになれば、ラッキーです。
捨てがたい物はフリマへ。遊びの要素を取り入れて
親御さんがどうしても捨てたくないものは、捨てない。
上質なもので、捨てることに気持ちがゆらいでいるなら、
・「写真に撮っておこうか。それで保存しよう」と言ってみる。
・子ども世代がもらってもよいと思うものは、少しだけ持ち帰る。
・使ってくれそうな親戚や友人にあげる
・フリーマーケットや、フリマアプリで出品し、必要な人に使ってもらい、お小遣いを得る
・有効活用してくれる団体に寄付する
フリーマーケットに出すのは手間ですが、「ほんの少しでもお金が得られるなら」「使ってくれる人がいるのがうれしい」となる場合が多いでしょう。
「メルカリ」や「ラクマ」などのフリマアプリでは、シニアの利用がここ数年で何十倍にも増えているそうです。
スマホを持っているなら、やり方を教えて自分でやってもらうか、ちょっと面倒でもやってあげ、遊び気分で楽しんでみてください。
そして売れなければ、「世間的に見ても価値はあんまりないんだね」というあきらめとともに捨てる決意もつくのではないでしょうか。
掃除するのも整理するのも、どこかに遊びの気持ちを残しましょう。
「みんなで掃除してすっきりして楽しかったね!」
「物がなくなってきれいになったこの空間で、さあ、おいしいお茶を飲もう」
など、掃除や片付けを一緒にして楽しかった、という思いを子ども側がアピールすることが、親孝行。
「めんどくさかったー、ほんと気も遣って疲れたよ!」という愚痴は、あったとしても、帰路まで残しておきましょう。
戦中・戦後生まれなど、物が少ない中で工夫してきた親の世代の人生経験は、今の使い捨ての時代の中でとても貴重。
学ぶべきことも多くあります。
子供や孫から見て不要に思えるものを、親がどんな時に、どう使おうと思っているのか、何にリフォームしようと思っているのか、などを聞くのは新鮮な発見にもなります。
そんな会話も楽しみながら、実家をより快適に暮らしやすくしたいですね。
母親・父親の介護予防にプレゼントやメッセージを
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そのためには、楽しみや張り合いのある生活が重要です。
親にとって、子供や孫とのコミュニケーションは大きな楽しみ。
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